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2024/05/05 23:57 |
「かけ算の順序問題」について思うこと

 

 たびたび議論の対象になっている、「かけ算の順序問題」について、私が日頃思っていることを書きます。

 前提として、私は算数数学の研究者というわけではなく、今から言うことはとりとめのない素人考えの一部に過ぎません。ですから、専門的な話や役に立つことが言えるわけではありません。ご了承ください。

 

 

 

 はじめに、立場を明確にしておきますね。

 私は「小学校の文章題において『かけ算の順序』を重視して教えること」に賛成です。

 まずは、今から扱う「かけ算の順序問題」とは何かを確認します。

 「かけ算の順序問題」とは、算数の文章題で式をたてるときに、かけられる数とかける数を入れ替えて書くのは間違いか、というものです。かけ算の順序を重視することに賛成する人と反対する人が、日夜意見をぶつけ合っているわけです。

 これだけではわかりづらいので、以下の例題2つを使って考えます。

 

(例題1)りんごが1皿に3こずつのっています。皿は4まいあります。りんごは全部で何こあるでしょう。

(例題2)皿が4まいあります。それぞれにりんごが3こずつのっています。りんごは全部で何こあるでしょう。

 

 2つの問題を読んで、りんごとお皿を想像してみてください。おそらく最後には、同じ図が浮かんだと思います。(下図は○をりんごとします)

 

○○○ ○○○ ○○○ ○○○ 

 

 イメージできたところで式を立ててみます。

 

(1の式)3×4=12

(2の式)3×4=12

 

ここで疑問に思った人がいるかもしれません。(2の式)は4×3じゃないの?

それに対して、『4×3では駄目だ』というのが「かけ算の順序重視」賛成派で、『4×3でもよい』というのが反対派です。

 つまり私は、『4×3では駄目だ』と主張しているわけです。

 

 

 そもそも「かけ算の順序問題」の議論には、すれ違いがあると思うのです。すれ違いが起こった原因はいくつもあります。

 

 一つ目の原因は、「かけ算の順序を重視」は「かけ算の交換法則の軽視」であるという誤解です。

 かけ算の順序を重視している側は、決して『3×4≠4×3』と言っているわけではありません。主張に関係なく『3×4=4×3』であり、これは覆りません。

 つまり、かけ算の順序を重視する教育は、数学の原理を無視しているわけではないのです。

 

 二つ目の原因は、教師への誤解です。

 かけ算の順序問題でしばしば引き合いに出されるのは、それを教える側の理解度です。テストの模範解答と全く同じではない、という理由で機械的にバツをつけているのではと疑われることが少なくありません。

 しかし、これは違います。

 児童の解答が模範解答と違っていたとき、教師が次に考えるのは『この児童はどこまで理解できているのか』です。

 (例題2)に対して4×3の式をたてた児童は、問題の意味が理解できていないことが多いのです。勿論、『皿に一個ずつりんごを配る施行を3回繰り返す』という意味でこの式をたてた児童もいるでしょう。『3×4=4×3』だから4×3と書く児童もいると思います。式からその意図を探ることはできません。

 例えば、図を書かせてみれば理解度がはかれます。りんごを1皿に4つ乗せる、そもそも図が書けない児童だっています。

 かけ算の問題が解ける児童には、2パターンあります。問題を読んで状況を正しくイメージできる児童と、問題に出てきた数字を機械的に式に当てはめている児童です。

 教師は、4×3の式から、後者の可能性を考慮しているのです。

 

(勿論、何事にも例外はありますので、教師の無知で嫌な思いをしたという方の経験談を否定するわけではありません。)

 

 

 三つ目の原因は、この議論をしている我々が、かけ算ができる大人であるという点です。

 この議論をしている人の中に、かけ算を使った問題が解けないという人はおそらくいないでしょう。最低でも義務教育で学ぶかけ算については理解できているはずです。xyを用いる抽象的な問題も解ける人からすれば、かけ算の順序に意味があるなんてナンセンスだと感じても仕方ありません。

 しかし、「かけ算の順序問題」は小学校教育についての話です。かけ算をはじめて習う子どもと、義務教育を終えた大人では話が変わってきます。

 大人から見るかけ算は、かけ算以外の何ものでもありません。しかし、小学生がはじめて習うかけ算は、たし算の延長にあります。例題で考えると、りんごが3こと3こと3こと3こなので、3+++3。これを3×4と表記する、かけ算はここからはじまります。

 次に、(1つ分の数)×(いくつ分)と考えます。

1皿分のりんごは3こで、それが4皿分なので、3×4。

 そして、(いくつ分)を(何倍)ということを学びます。ここでようやく、分離量だけでなく、連続量をもとめるときにも、かけ算を使えるようになり、かけ算は、(1つ分の数)×(何倍)と変化します。 こうした過程を経て、子どもたちにとってのかけ算は『たし算の延長』から徐々に『かけ算』になっていきます。

 『○○の何倍をもとめるから、かけ算を使う』と考えれば、やはり例題の式は、3×4になるはずです。3この4倍だから3×4。4倍の3ことは言わないでしょうから。

 

 

 以上、「かけ算の順序問題」が起こる3つの原因を挙げましたが、やはり私は「かけ算の順序重視」は間違いであるとは思えません。

 小学校では、どんな場面でかけ算を使うのか判断する力をこれから育てなくてはなりません。できるだけ混乱がないように、理解しやすいように、と考えれば、子どもたちにとってかけ算の順序は必要なものだと思えるのです。

 

 蛇足ですが、義務教育を終えた大人は、好きにすればいいと思います。何なら、かけ算だけでなく、求差の引き算の順序を無視したって。

 結局は、発達段階に応じた学びやすさの問題なのですから、最低限の数学を知っている我々には必要ないのです。

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2017/06/25 21:01 | Comments(0) | 雑記

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